ノーリフティングケアの定着について

体を持ち上げる介護は、介護者にとって負担が大きいものです。
そこで、ノーリフティングケアの一環で移動式の釣り上げリフトの導入が進んでいます。
釣り上げリフトは、寝たきりの方を移動するときに使用するものです。
釣り上げリフトには天井などに設置するものと、キャスターで移動して使うものがありますが、使い勝手がよいのと設備投資が少なく済むので移動式釣り上げリフトを導入する施設が多いです。
しかし、移動式釣り上げリフトにはリフトを取りに行くのが面倒だというデメリットがあります。
決まった時間の離床介助であればリフトをあらかじめ持っていくことができますが、訪室したタイミングでシーツの乱れを発見したなどの突発的な使用の際には、リフトを取りに行く必要があります。

所定の位置にいつもあればいいのですが、使いたいときにリフトがなかった場合、どこで使っているかを探さなくてはなりません。
探しに行くのが面倒で、人力で介助してしまうことも多いのではないでしょうか。
また、一台しかないリフトを使用するほどの介助ではないという自己判断が重なり、結局いつも所定の位置にあるリフトも珍しくありません。
このように、移動式リフトは便利なようでルーティンでの使用に繋がるには工夫が必要です。
具体的な策は、突発的な利用をする際にはコールでリフトを持ってきてもらうように頼む、使用する利用者を決めるなどです。
また、介護者側にノーリフティングケアへの理解の促しも必要です。
介護者の体を守ることが要介護者の受ける介護の質に関わることをよく理解して、リフトの使用を促しましょう。